野球肘Q&A

1.はじめに

少年野球

子供のスポーツによるケガでは、男子を種目別で見ますと野球が全体の約50%を占めると言われています。その野球の中でも、小学生の時期には肘関節が圧倒的多数を占めます。当院にも多くの野球肘患者様が来院されます。
野球肘は本来子どもの病気ですが、「おとながつくっている病気」とも呼ばれています。現場の指導者のみならず、親や周囲のおとなたちが正しい知識を持つことによって、充分に予防でき、早期に発見することで完治することができる病気でもあります。

残念ながら現場においては子ども自身が「肘が痛いけれども診てもらうと野球を禁止されるから黙っている」ケースも珍しくありません。
その他にも、

「受診して野球肘だと言われると選手(レギュラー)から外されるから受診しない。」
「投げていると痛みが薄れるから。」
「痛むのは投げた日と翌日だけで、普段は痛まないから。」
「なんとなく痛む(違和感)程度で、明らかな痛みではないから。」
「ガマンできるから。」
「痛みをこらえて投げるのがカッコいいから。」
「つらい事に耐えるのが美徳だから。」

などなど

様々な理由で医療機関を訪れるタイミングが延ばし延ばしになってしまい、その結果こじれてしまったり悪化してしまったりするのです。
早期であればそれだけ早く治ります。遅れれば遅れるほど通院期間や投球制限の期間が長くなってしまうどころか完治出来なくなってしまう危険性もあります。


2.野球肘とは

オーバヘッド・モーション

いわゆる投球動作(オーバーヘッド・モーション)によって発症するので「投球肘」と表現した方が適切かもしれません。テニスのサーブ・バレーボールのスパイク・バドミントン・槍投げなど、野球以外の「オーバーヘッド・モーション」でも発症します。

いずれにしても「ひとつの病態」ではなく「症候群」として捉えるべきだと考えています。

・野球肘の好発年齢は11~12歳
・野球肩の好発年齢は15~16歳

(*好発年齢とは、統計的に発生率の高い年齢を示していますので、個人差はあります。)

投球動作を行う場合、通常骨・軟骨・靭帯が力学的に弱い子供の時期(特に13歳頃まで)には全身の骨・靭帯性安定性は低く(=関節弛緩性joint laxityが高い)外見上からだが柔らかいのですが、肘関節の内外反に関しては比較的安定性があります(=弛緩性が低い)。

筋の発達も未成熟な事もあり(筋の能力で関節の安定性を補う事が困難)、投球動作時には安定性の高い肘関節に力学的なストレス=負荷がかかってしまうので、おおむね13歳頃までの投球傷害・外傷は肘関節に発生しやすくなります。

その後の成長に伴い骨・軟骨は強度を増し、筋の発達も見られるようになりますので好発部位は肩関節に移行します。

 

<症状の例>

内側障害

後方障害

外側障害

内側が痛い。
押さえると痛い。
曲げ切ると痛い。
伸ばしきると痛い。
伸びきらない。
曲がりきらない。
握力が落ちた。
手をつくと痛い。
コンディションが下った。
球速が落ちた。
コントロールが定まらない。
投げ始めに少し痛い。
投げていると痛くなる。
何となく気になる。
など。

肘の後が痛い。
後を押さえると痛い。
曲げ切ると痛い。
伸ばしきると痛い。
伸びきらない。
曲がりきらない。
握力が落ちた。
手をつくと痛い。
コンディションが下った。
球速が落ちた。
コントロールが定まらない。
投げ始めに少し痛い。
投げていると痛くなる。
何となく気になる。
など。

何となくおかしい。
なんだか違和感がある。
外側が痛む様な気がする。
突然痛みが発生する。
曲げ切ると痛い。
伸ばしきると痛い。
伸びきらない。
曲がりきらない。
握力が落ちた。
手をつくと痛い。
コンディションが下った。
球速が落ちた。
コントロールが定まらない。
投げ始めに少し痛い。
投げていると痛くなる。
など。

※離断性骨軟骨炎(関節ネズミ)では、自覚症状は発症してから1・2年しないと表れない事がほとんどです。